かつて東京日野市にあった「多摩テック」。多摩丘陵を利用して作られた、モータースポーツをテーマにした遊園地でもある多摩テックの跡地は、今どうなっているのでしょうか?
かつてはモーターアトラクションの他、プール、観覧車、ゴーカートなどのアトラクションの他、温泉やキャンプ場などもあり、最盛期には100万人が来場したと言われる多摩テック。
2009年に惜しまれつつ閉園してまもなく15年が経とうとしています。
多摩テックの跡地は廃墟とも言われていますが、侵入者を防ぐフェンスの中はなんと想定外の様子に。現在について詳しく調査しました!
また多摩テックが閉園した理由や、その後揉め事となった明治大学が関わる跡地の色々な問題、今後、跡地に何ができるのか、などについてお伝えします。
多摩テックがなくなったのはなぜ?閉園理由
多摩テックがオープンしたのは1960年代。最初はオートバイ好きに向けたバイクのコースを備えた「オートランド」でした。
その後観覧車やアトラクションなどができましたが、多摩の丘陵地の急勾配を生かした、ライド型のアトラクションも複数登場して人気に。
いっきに遊園地色が強くなっていきます。読売ランドや西武園と違う点はモーター系のアトラクションがあったこと。モーター好きが集まります。
さらには掘削で温泉が出たため、温泉施設「クア・ガーデン」などもできて、さらに人気の場所となりました。
ただ、2000代に入り、ユニバーサルスタジオジャパン、東京ディズニーシーという大規模なテーマパークができ、入場者は現象の一途に・・・。他のテーマパークと同様に閉園の影が立ちこめます。
2007年にはリーマンショックが起こり、最終的には2009年に「修理の資材の調達に時間を要する」という理由で休止、そのまま閉園となりました。
時代の流れによる経営状態の悪化、惜しまれながらも閉園ということになります。
多摩テックの跡地2023の現在!今は廃墟というのは本当?
多摩テックの広さは120,000平方メートルほどあると言われています。この広大な土地は、現在は未利用のまま放置されています。
周りはフェンスで囲われ、遊具のほとんどは解体されたものの、一部の建物やレールの一部などは残ったままとなっていますが、閉園して14年ほどが経っているのでまるで廃墟と言われているようです。
多摩テックの跡地の現在の様子は?
今年の夏の、多摩テックの正面入り口はこのような状態です。
多摩テック入り口の跡地らしい。 pic.twitter.com/QU4HRAQw1X
— さんぼう (@sanbou001) August 17, 2023
外からの見た目はこのようになっています。中には入ることはできません
閉園から10年以上が経った多摩テック跡地。明大がキャンパスを作る予定だったけど建設費が高騰したり市と色々揉めたりして放置状態… 遊具の殆どが撤去されたけど、ごく一部の建物やモノレールの線路が残されてる pic.twitter.com/QZtkQG3kU7
— matto (@mattommmm) February 2, 2020
正面入口や天然温泉のあった場所はこのような雰囲気に。
夜の多摩テック跡地
— くまはうす (@kumahousecom) September 3, 2020
実際には真っ暗なのですが😅iPhone 11Proに頑張ってもらい📱🙈
1、2枚目 旧多摩テック正面入口
3枚目 旧多摩テック天然温泉入口#多摩テック #廃墟 pic.twitter.com/Ipcw0PAwvd
多摩テックがあった場所は元々は多摩の自然が豊かな丘陵地帯。跡地はそのまま自然化が進み、上空からみるとこのように緑が多い茂っています。
としまえん閉園が話題だが
— よっちん (@yocwitter) February 4, 2020
2009年に閉園した多摩テック跡地が再利用されず広大な森林になっていた事に驚愕した pic.twitter.com/A8UvGbEfah
こちらも空撮。緑の中にところどころレールが残っている様子がわかります。廃墟ではなく、どこか幻想的な雰囲気すら感じる自然豊かな場所になっていますね。
【モトブログGROM】久しぶりにドローン飛ばしに行きました!モトブログ再開! https://t.co/nWBlybYJ3h @YouTubeより
— TAMAKKOworks (@tamakko_rider) July 6, 2020
久し振りにドローン飛ばして来ました。
原点に立ち戻ってドローン最初に飛ばした旧多摩テック跡地上空へ!
16時からプレミア公開します!コメントお待ちしてます! pic.twitter.com/oM6DMpLGhM
周辺からはフェンスで中が見えませんが、なんと野生動物が住む跡地になっていることでも有名。
夜になると動物の鳴き声などが聞こえるそうですよ。後半でお伝えしますが、この辺りで有名なあの動物も。
撮影された廃墟の様子(動画)
多摩テックの現在を捉えた様子がこちら。2022年撮影のものですが、空撮なので中の様子もわかります。
レールの一部や、建物などの名残を見ることができます。
このような状態から廃墟と言われるのかもしれませんね。
多摩テック跡地の住所と地図
多摩テックがあった住所は東京都日野市です。
多摩テックの当時の園内の地図や雰囲気はこのような感じ。
#ダライザーの日野名所紹介
— 超流戦士ダライザー@日野市のヒーロー (@Darizer_Hino) December 19, 2016
実は昔、日野市には多摩テックという遊園地がありました!
今では軽く廃墟と化していますが
ダライザーも小さい頃はよく遊びに行きました!
ゴーカート好きだったなぁ
まだ覚えてる方いらっしゃいますか? pic.twitter.com/Y2tWKBmtnX
多摩テックへの侵入者とは?たぬきの噂
多摩テックの跡地の周囲は高いフェンスで囲まれており、中に入ることができません。
廃墟マニアの侵入による事故を防ぐためにつくられたフェンスですが、なんと今は別の侵入者が。
目撃によると「たぬき」をはじめとする、野生動物の棲家になっているそうで、密かに自然が広がっています。
こちらの記事にもある通り、ひょっこりとたぬきが顔をだしたりするそうですよ。
ジブリ作品「平成たぬき合戦ぽんぽこ」にも出てくる、あの多摩地区のたぬきです。
先日 多摩テック跡地にはたぬきを中心とした野生動物が回帰して棲みついているとツイート
— くまはうす (@kumahousecom) September 3, 2020
まさに逆 平成狸合戦ぽんぽこ状態と記しましたが🐺🦊
野生動物 いますいます😱
夜…….中からはすごい物音が聞こえています 人が近づいた気配で威嚇していたんですかね😅#多摩テック pic.twitter.com/JB6yGkXc2z
調査によると、絶滅危惧種に指定されている『キンラン(ランの一種)』を始め、オオタカの営巣地もあるそうで、この一帯の自然環境保全も協議されているそうです。
この公園の柵の向こうは多摩テック領だったのだが、今はめちゃ鳥がうるさいゾーンになっていて笑ってしまった。 pic.twitter.com/YfuSYSehoS
— ココロ社 (@kokorosha) June 26, 2020
実際は、廃墟どころか、とても豊かな地になっているという状態ともいえますね。
多摩テック跡地の再開発が進まない理由もわかる気がします。
多摩テックの跡地問題とは?
2009年に多摩テックが閉園したのち、跡地の利用に名乗り出たのは『明治大学』と共同事業者の『三菱商事』。
多摩テックの跡地の約20ヘクタールに、グラウンドや体育館、プール、合宿所などを含んだ「(仮称)明治大学スポーツパーク」をつくる計画ができました。
さらに明治大学は『スポーツ科学部』を新設して校舎を設立するなど気合が入ったものだったようです。当時早稲田大学などがこぞってこの部を作ったそうですよ。
加えて、強豪ラグビー部が本拠地とする『八幡山グラウンド』の移設先としても候補が上がるなどで、話はトントン拍子に進みます。
「明治大学スポーツパーク(仮称)」整備計画推進について
明治大学スポーツパーク(仮称)」の整備計画推進について
そうして2011年、共同事業者の三菱商事が多摩テックの土地を約60億円で購入します。
日野市を中心にして、地元自治体などとも協議がまとまり2014年から利用を目指す予定でした。
なぜ再開発が止まった?
ところが、もともと自然豊かな多摩テックの敷地内には絶滅危惧種である『キンラン(ランの一種)』の群落が見つかったり、また『オオタカ』の営巣地などがあることが確認されます。
そこで東京都自然保護条例に基づき、東京都自然環境保全審議会の審査が長期化することに。
2013年には建物などを縮小するなど計画変更が条件で認可されます。でもこのことで着工予定は大幅に遅れることに・・・
そうこうしているうちに、2011年の東日本大震災が起こり復興事業がそちらに向けられたこと、また2020年の東京オリンピックが開催決定したこともあり、建設資材や人件費が一気に高騰することになります。
『市街化調整区域』には、産業の誘致はもちろん、レジャー施設も建てられない場所です。
これに対して、逆に明治大学は「三菱商事の見通しの悪さから竣工が遅れた」として三菱商事の契約不履行を理由に和解に応じませんでした。
これにより、三菱商事は明治大学を相手取り、土地の建て替え代金約46億円を含む61億9千万円の支払いを求める訴訟を起こすことに。
結果として、2018年、東京地方裁判所は明治大学に対し8億円あまりの支払いを命じる判決を下しています。
多摩テックの跡地は今後何になる?現在の所有者も確認
多摩テックの跡地の利用については2023年現在、まだ決まっていません。
多摩テック跡地:未定(2023年現在)
多摩テックの跡地は、最終的に三菱商事の所有となりましたが、2019年に日野市公認の元、「三菱商事都市開発株式会社」へ所有権が移っています。
市街化調整区域ということもあり、商業施設やレジャー施設などができることはなさそでうです。
建設可能なものは、建設することで人口が増えないもの、人口増加に関係ないものに限られます。
となるとグラウンドやゴルフコース、墓苑などがイメージされますが、多摩テックの跡地の利用についてはまだ明らかになっていません。
なお、日野市は「第34回市民まちづくり会議」にて、今後の多摩テックの跡地の利用について次のように決定されています。
〜大規模土地取引行為の届け出地の概要について〜
【地区計画の目標】
地区内の既に開発が行われている土地については、これまでの利用形態をふまえ、都市に残された貴重な自然資源としての緑地などを保全・活用を図る。また、幅広い年齢層の市民が利用でき、市民生活を豊かにし地域の活性化に寄与する土地利用を適切に誘導する。【土地利用の方針】
既存の緑を保全し地域植生を活かした積極的な緑化を行うことなどにより、都市に残された貴重な自然資源としての保全・活用が図られるよう土地利用を誘導する。
地区内の既に開発が行われている土地については、市民の生活を豊かにし地域の活性化に寄与する開かれた土地利用とする。【地区施設の整備の方針】
第34回 市民まちづくり会議〜大規模土地取引行為の届け出地の概要について〜
既存緑地の保全がなされ、まとまりのある既存樹林と一体となった緑の創出が図られるとともに、周辺散策路との連続性に配慮した散策路を整備することにより、丘陵地の自然資源・観光資源・レクリエーション資源を有機的に結びつけるため、緑地及び散策路を地区施設として位置づける。
具体的に何ができるかは決まっていないものの、「緑と共生した土地利用」ということになるようですね。
多摩テック跡地2023の現在!閉園理由や跡地問題、廃墟には何ができるか調査!のまとめ
東京日野市にあった「多摩テック」の跡地の現在、閉園理由や跡地問題についてお伝えしました。
- 多摩テックの閉園理由は、時代の流れにより経営困難となったため。
- 多摩テックの現在は、アトラクションはほぼ撤去、レールの一部や建物が残っているため廃墟とよばれている。
- 実際は、侵入者を防ぐネットの中で豊かな自然が戻り、たぬきや絶滅危惧種の棲家となっている。
- 閉園後の跡地の利用は明治大学と三菱商事により、「明治大学スポーツパーク」が予定されたものの、問題があり提訴に発展。
- 閉園後の利用は2023年現在決まっていない。
今後の利用が決まりましたら追記していきます。